並河流 超絶技巧の継承

07 08, 2018
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さて、
先週エントリーした並河靖之を特集したテレビ番組。30分という時間は初心者にもちょうど良く、かつ、内容も良かった。
この番組に限らず、こうした超絶技巧を扱う番組の中では現代の工芸家が先人たちの匠の技にどれだけ迫れるか?と言う内容をプログラムの縦軸にする場合が多い。今回もそうだった。
そして、大方の予想通り、今回で言えば並河のワザにはとうてい迫れなかった、という結論に至った。
しかし、改めて見ても凄いワザである。
去ること少し前、2017年の1月14日から4月9日まで、東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)にて並河靖之の作品が一堂に集められた展覧会が行われた。これは、日本で初めてともいえる並河靖之の集大成展覧会で、初期から最晩年までよくぞここまでというぐらい並河の作品が集められたファン垂涎の展覧会だった。開催中に二度ほど足を運んだが、会場の雰囲気といい、作品の充実度といい、近年見た中ではベストの展覧会だったように思う。
会場では単眼鏡を使い事細かに見て回ったが、そのできばえに、ただただ驚嘆するしかなかった。

自分は、並河の研究者ではないので詳しいことはわからないが、並河がいかにしてあのような素晴らしい作品群を作り上げたかというのは「謎」とされている。正確な工程や技術的な詳細は不明である。

並河の作品を見ていつも思うことがある。
なぜ、この技術が一代で終わってしまったのか。

並河作品の多くは少数精鋭の並河工房で生み出されていた。決してひとりではなく、各工程に専門家がいたとされている。でなければ、例え並河といえども、ある種量産的にあれだけの作品を生み出せるはずは無い。生産をせかされていた当時の実情を考えると分業制の方が遙かに合理的だ。
技術が継承されなかったことは、時として不幸で残念ではある。結局のところ、並河が弟子をとらなかった理由はよくわかっていない。
でも、例えば二代目、三代目の並河靖之がいたとしよう。
調べればおそらくそれに近い人物はいたのかもしれない。ただ、技術的な継承と師と同じような花鳥風月などモチーフを有し、それこそ同じ方向性をもって師・並河を超えるのは至難の業だ。
偉大すぎる師・並河の弟子は多くの苦悩を抱え込むことが容易に想像できる。つぶれてしまうか、限界を見極めたか。
そうでなければ、平成の今日、その名が残っていてもおかしくない。

かつて外貨獲得のためにもてはやされた七宝は、現代の七宝制作とは時代背景が異なる。
あらゆる職種の後継者不足が叫ばれる昨今、七宝業界も例外では無いだろう。
技術の継承も無く、本人の死により新しい作品は生み出されなくなり、限りあるものとなった。

いわずもがな、教えるのは簡単だが、生み出すのは難しい。
並河自らがパイオニア、探求者であったように、後に続く者への継承。
それが残された並河作品である。
彼なりの「超絶技巧」の継承の流儀だったのかもしれない。




「THE超絶技巧」 並河 靖之 桜蝶図平皿 テレビ東京系「美の巨人たちに」に登場

06 29, 2018
桜蝶図平皿
CG kazzzzak(+あい。)

さて、
久しぶりに並河靖之がテレビ東京系「美の巨人たち」6/30放送分に登場する。
超絶技巧という言葉もすっかり定着した昨今ですが、この人の作品ほどその言葉が似合う芸術家っていないんじゃないかと思ってます。まさに「超絶技巧中の超絶技巧」30分でわかりやすい解説(多分)もあると思うので、だまされたと思ってご覧になってはいかがでしょうか?
この桜蝶図平皿は何回か実物を見ておりますが、並河の専売特許もいわれる黒色釉薬では無く、グリーンを基調とした色彩豊かな平皿です。
一番最初にこの皿を目にしたとき、かなり大きい皿なのかな?と思ったんですが、直径が24.6センチで、そこまで大きくないことにビックリしました。なんか凄く大きく見えるんですよね。
ちょっと予告でも見られるのですが、番組では、この皿がいかに手間がかかっているか?作品作りとともに検証するようです。楽しみです。



Kazz ダムにハマる。恐るべしダムとダムカードの魅力。

09 18, 2017
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さて、
三連休の予定が台風でキャンセルになった方もいらっしゃるでしょうが、私もそんなひとりです。
というわけで、隙あらばいつでも出かけられる準備をしながら、今回は少し表題についてエントリーしようと思います。
早速、たぶん今更になるんでしょうが、
「ダムカードって知ってます?」
ああああ・・たぶん大抵の方はご存じなんでしょうが、知らない方もいると思うので、写真だけ。
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表がこんな感じで
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裏がこんな感じです。
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長島ダム

いろいろ解説があって、専門用語も出てきます。
はじめは、「重力式アーチダム?」何それ?って感じだったんですが、最近ではわかるようになってきました。
で、最近静岡県にある「長島ダム」というところに行ってきました。ここは少し前にエントリーした「夢の吊り橋」の近くなんですが、たまたまこの日、長島ダムでは年に一度の見学会をやってたわけなんです。
一時間ぐらいの見学会で、内部や湖面の調査船なんかに乗れるツアーだったんですが、これがかなり面白かった。観光客もかなりの数来ていたようでした。

人が造る巨大建造物の代表といって挙げられるのが、ビル、橋、そして、ダム。ですよ。その中にあって、正直「ダム」って結構地味な存在。大概山奥にあるため、峠の途中で運転しながら遠目には見たりするけど、わざわざそれ目的で行ったりはしない。しかも、水力発電や様々な用途のための水源確保など、ダムはライフラインに直結する重要な存在であるわけなんです。
が、一方でダムを造るための巨額な費用や、そこに住む村などをダムの底に沈めるため住民は移動を余儀なくされたり、正直ダムには良いイメージがない。もしくは、もたれていない。・・・と思うんです。
ところが、最近は状況が大きく変わりつつあるようです。ど迫力の観光放水や、ダムに隣接する複合施設、各種イベント開催やマスコミの取り上げかたなど、もはやダムはそれまでの地味で華がない(失礼)イメージを払拭し、カップルのデートや、ファミリースポットなど、メジャーな観光施設へと変貌を遂げているんです。
そのイメージ回復?のために一役かっているのが、表題の
「ダムカード」
というものです。

まぁ、カードの発行っていうと、大はずしか大当たりか、みたいなところがあるのですが、ダムというお堅く地味な存在がこれを始めたことで、加速度的に注目が集まり出しました。しかも、このダムカードのすごいところは、
「ダムカードをつくりましたので、皆さん集めませんか?」
みたいな強制感がなく、ほとんど宣伝もしていないところ。
そもそもカードという形態はしているが、ダムを知ってもらうための簡単な紹介としてカードという選択肢がなされただけで、今日のブームに至るとは制作者側も考えていなかったのだろう。その証拠に、そもそもダムカードは基本的に一定期配布したら配り終了するはずだったらしいのです。ところが、この密かなブーム。
結果、ダムカード配布にはある一定の効果が認められ、以後継続することになった、ということみたいなのです。
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黒部ダム

確かに、自分も構造物のダムにそれほど魅力を感じてたわけじゃないんですが、決定的だったのが七月に約20年ぶりに行った黒部ダムです。
黒部ダムといえば日本のダムの中でも位置にを争うビッグネーム。ど迫力の観光放水や、日本でここだけにしかないトロリーバスなど、黒部ダムには集客できる要素がそろってます。
あと、今年は黒部ダムが造る際の破砕帯突破60周年記念とも重なって、パネル展などのイベントが充実していました。
20年前にはなかった野外階段などが新設されいっそう充実し、ダムというビジュアルだけでなく、ダム建設の裏側も勉強でき、同時に興味も出てきました。
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ダムカードの話に戻るのですが、このカードを集めるには二つのルールがあります。
ひとつは、当然といえば当然なのですが、現地に行かないともらえない。
もうひとつが、一人一枚しかもらえない。
このふたつです。
そういったわけで、このカード収集はかなり難易度が高いといえますね。しかも、このカードにはVersionが設定されており、写真が結構変わる。また、県内のダムすべてを回ると特別なカードが貰えたりするのだ。これは集めるのが大変だ。
自分もコンプリートするまでのパワーは無いけど、行ったら貰おうかな。(笑)
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ダムと同時に流行ってるダムカレー。食べると同じフォーマットのカードが貰える!!(場所もある。これは黒部ダム。)
集めてる集めてないにかかわらずこういうのは楽しいです。

けど、きっかけって大切なんですよね。はじめは些細なことでも掘り下げれば大きくなれる。ダムカード集めはダムを知る良いきっかけになり、今後とも継続していただきたい。自分もこれからダムは通り過ぎる存在ではなく、観に行く存在になった。



初花は遠く。東京国立博物館でやらかした失態。

05 06, 2017
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CG Kazz zzaK(+あい。)

さて、
GWも後半戦突入で残すは二日のみ。
先日、というか、昨日の5日。自分は上野にある東京国立博物館(平成館)に足を運びました。
まぁ、察しの良い方なら既に出オチ感丸出しなのでおわかり頂けたと思うのですが・・・。
やってしまいました・・・
意気揚々と入場し、しばらく見ていたのですが、一向に「初花」は出てきません。
そのうちどんどん時代が新しい方の展示になってしまい「おかしい」と思い嫌な予感。
初花・・・既に入れ替えられていました。
・・・もう溜息しかでてきません。(笑)
別に告知されていなかったわけじゃ無いので完全に自分が悪い。
あるという思い込みです。
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しかも、後で確認したら入場チケット売り場にも展示品の入れ替えローテが明示されていた。
ホント、何やってるんだか・・・。
昨日は久しぶりに落ち込みました。
けど、まぁ、初花が無くなったわけじゃない。
またチャンスはあるさ。

並河靖之は、いかにして並河靖之になったのか ? その答えを見つけるために。東京都庭園美術館 並河靖之 七宝展

03 30, 2017
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CG Kazzzzak(あい。)

さて、
少し遅くなったが東京都庭園美術館で開催されている「並河靖之七宝」展を見に行った。
並河靖之といえば当ブログでも登場回数のかなり多い大好きな芸術家である。
「超絶技巧」という言葉が定着し、その源である明治工芸がブームになっている今日、「いつか並河靖之単独で展覧会をやってくれないかなぁ」と思っていたのだが、ここにきてようやくそれが実現した。
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結論から言ってしまえば、この展覧会、展示品は言うに及ばず、人間 並河靖之を知る上でも極めて重要な展覧会です。
最初期の作品から、並河の最高傑作といわれる晩年の作品まで。時系列で展示されたはじめての回顧展。それが、重要文化財でもある旧朝香宮邸で開催されているのだから、そりゃもう、最高です。(笑)実際、邸宅内の雰囲気と相まって、すべての作品が神々しい。ひいき目ですが、並河靖之七宝にはこういう場こそ相応しい。
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早く見たいのをグッとこらえて、まずは重要文化財である誰もいない旧朝香宮邸をカメラに納めた。近年修復され、良い意味で真新しく、素晴らしさ際立たせる。
庭や入口付近の写真を撮りつつ、一呼吸置いて中に入る。
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実は東京都庭園美術館は初めてだ。本来なら重要文化財でもあるこの邸宅だけでも入場料を払ってもいいぐらいだが、並河靖之七宝が展示されているとなると話は別だ。実際入ったはいいが、館内が一向に目に入らない。(笑)
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上の写真は京都の並河七宝記念館(並河邸)に訪れた際に撮影したものだ。晩年、引退した並河は、ここで鯉と戯れることを楽しみに過ごしていたという。

今回の展示会は、並河の初めての回顧展ということもあり、国内・海外色々なところから彼の作品が集合している。見慣れた作品もあるが、初めて目にする作品も多い。これだけの並河作品がズラリと並ぶことは、今後しばらく無いと思う。
並河がマスコミなどに紹介される際は、当然ながら最盛期の脂の乗り切った頃の作品が登場する。例えば今回の扉のような壺(藤草花文花瓶・明治後期作)だ。そして、並河といえば花鳥をデザインしたもののイメージがあるが、初期の作品は輸出を意識したせいか、龍など中国を連想させるものが結構登場する。逆に晩年は、一枚の絵画のようなシンプルながら極めて繊細な作品が並ぶ。このテイストの変遷には理由があるが、そこは展覧会を見に行って自ら感じて欲しい。
最初期〜晩年。この並びを見ると、素人ながらにも凄まじい技術的な進化を感じ取ることができる。最盛期や晩年の作品を見た後では初期の作品などは確かに発展途上にあると感じるが、それでも「いきなりこれかっ!」という大きな驚きはある。逆に晩年は、えっ?と思うような作品もある。彼の作品作りを取り巻く様々な環境変化を感じ取れるか、そこは今回の展覧会の大きな見所のひとつだろう。
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CG Kazz zzaK(+あい。)藤花菊唐草文飾壺

天才というのは、生まれてから死ぬまで天才では無い。
今日、超絶技巧・天才の代名詞のように扱われる彼でも、大きな苦悩・挫折という壁を超え頂点を極めた。デザインや技術、そしてそれこそ血のにじむような研究を実行し、幾度となく繰り返されたトライアンドエラーの膨大な時間。
並河は、時間的制約や売らんが為の作品作りを断固として拒否していた。だが一方で、抱えた職人達の生活のための責務はあったに違いない。それ故顧客の要望に多少は応えなければならなかった。超職人である並河の人間性がそこまで融通的だったかどうかは些か疑問だが、やらざるを得ない背景はあっただろう。
七宝造りには思いの外多くの人間が拘わっている事を知った。今回の展覧会は、下図など作品以外の展示も豊富だ。そういう意味からも並河靖之個人だけではなく、チーム並河の存在。側面から見る並河作品というのも別の鑑賞ポイントになるのではないだろうか。
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CG Kazz zzaK(+あい。)藤草花文花瓶

今回の展覧会は、当たり前に天才といわれる並河の心の揺らぎ、苦悩する精神を時代毎の作品から感じ取ることができる素晴らしい展覧会です。誤解のないようにいいたいのだが、それは決してネガティヴな意味ではない。ただ単純に細かい、超絶技巧だ!人間業じゃない!と持ち上げるのは簡単だが、そうした技術力に感動・賛美する時間は個人的には終わった。この展覧会は作品の変遷とともに、いかにして並河靖之は並河靖之になったのか?という進化の過程に興味は集約された。もちろん、その答えにたどり着くまでの全てを見ることが出来たわけではないが、並河靖之の多くを知ることができたことは間違いない。

並河靖之七宝展は2017年4月9日(日)まで東京都庭園美術館にて開催。
桜よりも藤の花。こちらを先に見るべきだ。
おっと、単眼鏡を絶対に忘れるなっ!!(笑)


今回は東京都庭園美術館でビクセンの単眼鏡が先着50名まで無料で貸し出しされているようです。
詳しくは→東京都庭園美術館『並河靖之七宝展』で単眼鏡の無料レンタル
絶対に借りるべし!

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