ふたりの泪。千利休 泪の茶杓

03 05, 2012
千利休作 竹茶杓 銘「泪」Sen no Rikyu taketyasyaku mei 「NAMIDA」
Kazz日本全国古(いにしえ)の旅
泪41
さて、今日の茶道を確立し、その頂点に立つ言わずと知れた茶人・千利休の命日は2月28日。
この千利休が最後の茶会に自ら削り制作したと言われる一本の茶杓。
それが茶道界では伝説になっている茶杓
「泪(なみだ)」だ。
この茶杓「泪」は、茶道具の中でも誰しもが認める最高峰級のお宝である。
時の権力者豊臣秀吉に切腹を申しつけられ、無念の死を遂げた千利休。
自分の形見代わりに(のちに織部がそうしたもので利休がそう言ったか定かではない。)利休七哲といわれる弟子のひとり、古田織部に最期に渡したのが、この「泪」の茶杓といわれている。(細川忠興に渡したのが茶杓「命」(ゆがみ)「泪」は織部が銘をつける。)
古田織部は細川忠興とともに利休の最期を見送った弟子。他の大名が秀吉をおそれ利休に拘わることを避けていた中、このふたりだけは人目に触れることなく利休の最期を淀のほとりまで見送りに来たのだった。
泣かせるじゃないか・・。
泪14
そこに至るドラマはかくも悲しくあり。
この逸話の真意は実は定かではないのだが、でも、そうした話を抜きにしてもこの茶杓は最高に美しい。
それだけで、いい。
この「泪」。
調べると、どうやら公開している(3月5日現在終了しています。)らしい。先週からその機会をうかがっていたのだが、母も見たいというので念願叶って見に行くことができた。
徳川1
徳川美術館1
では、この茶杓「泪」はどこにあるのか?
それは、尾張名古屋・徳川美術館にある。
ほとんど門外不出のもので、滅多なことではここから移動しない。
何年か前に東京にも来たのだが、その時は見ることができなかった。
ただでさえ貴重なお宝。この「泪」は徳川美術館でさえ常設展示ではなく、一年に一度、利休の命日に合わせてホンの僅かな期間だけ展示される。(今年は2月24~3月4日。残念ながら終了しています。)
このことを見ても大変なお宝だというのがわかる。

で、ここで素朴な疑問が生まれるのだが・・。
この超がいくつもつきそうな国宝級のお宝「泪」なのだが、この「泪」は国宝はおろか重要文化財にすら指定されていない。
つまり、茶杓という性格上何処かに利休の銘が刻まれているわけでもなく、おそらくは脈々と流れる時間の中での伝承という形で徳川家の家宝として語り受け継がれたきたものである。箱書きなどもなく、実際利休が製作したのは間違いない(といわれる)のだが、究極まで突き詰めると確固たるものが無く、文化財という線引きからは外れてしまうのだ。故にこの茶杓「泪」は文化財としては無印。
織部がのちに位牌代わりにこの茶杓の筒を作ったところを見ると、何気なく利休がこの茶杓を渡した情景が目に浮かぶようだ。ホント、何気なくこの茶杓だけを渡したのかも知れない。
泪10
さて、「泪」自体の詳細を見ていこう。
まっ、こういうものは当然ながら撮影禁止である。そう言う場合には仕方がないが、大したこと無い Kazz zzaK (+あい。)のCG出番である。上手くできたかわからないが、こんな感じという参考程度に。

まずこの「泪」を最初に見て思ったのが、
「小さい」
公式には長さ16.8センチ。確かに小さい。(重さはよくわからない。)
・・・のもそうなのだが、
驚異的なのは、その薄さ。
節下の持ち手の部分はよく見えなかったのだが、僅かに1ミリぐらいじゃないだろうか。
その小ささもさることながらまず、この薄さに驚かされた。
それと共に、この「泪の茶杓」の裏側がどうなっているのか非常に興味があったのだが、ベタ置きにされていたので全く見ることができなかった。
泪14
全体に反りは無く、櫂先にいたる部分がひらがなの「く」の字のように結構「カクッ」と曲がっており、なだらかな曲がりとは一線を画する。
泪11
色は全体的に飴色になっており、独特の古さに貫禄さえ伺える。特に古竹を使ったようには見えなかった。
全体からにじみ出る作品としての「気」
これぞ、まさに最期の利休の精神が乗り移った魂の茶杓。
泪 先端部
外見的な特徴では、櫂先と呼ばれる先端部に浅い溝が入っている。(本物の櫂先はもう少し丸い。)
後は語り尽くされている感もあるこの茶杓「泪」
いつもながらあんまり掘り下げすぎると読んでもらえないのでこの辺にしておこう。(笑)
本当はブログ用にポストカードを購入してきたのだが、そこにあるのはWEBで出回っている写真だし、あえて載せないことにした。
この「泪」は勿論来年も展示されることだろうと思う。
この「泪」だけをピンポイントで見に行くのはよほどの数寄者でないとなかなか実現しないが、時間が合えば訪れて損はない。
今回はこの展示に合わせ滞在時間僅か2時間程度で名古屋からとんぼ返りしてきた。
徳川美術館は徳川家のお宝美術館なので点数は限られているが、なかなかの展示をしていた。
泪 織部筒
いずれにしても、この「泪」の価値は、その茶杓としての美しさは勿論、その劇的な物語にあると言っても良い。

この「泪」を受けた後の織部は、徳川家に茶道を通じて深い関わり合いを続けるが、皮肉にも利休と同じ時の権力者に自らの運命を左右される出来事の中、自害するはめになった。
織部は利休亡き後、この茶杓を大切にし、亡き師の遺品となった「泪」を位牌に見立て黒塗りの筒を作り、そこに四角い窓を開け位牌代わりであるこの「泪」を拝んだという。
そして今日、この茶杓「泪」は織部がこの「泪」のために作った「筒」と一心同体、共にある。
亡き師を大切に守るような織部の筒。
我々の知るところである利休と織部の深い関係。
それは、今なお我々に語り継がれる一人の師と弟子の物語でもある。

「泪」と銘を刻んだ織部に利休も「泪」したのかもしれない。

SIGMA SD15 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM
ⓚCG Kazz zzaK (+あい。)



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