日本一危険な国宝30

07 30, 2012
三徳山 三佛寺 投入堂(完全解剖 製作編)19
Mitokusan Sanbutsuji Nageiredou (kanzenkaibou-seisakuhen) 19
Kazz日本全国「古(いにしえ)」の旅
screenshot_131.jpg
暑い・・いや、熱いですね。何なんでしょうかこの熱さは・・。(笑)
ロンドンオリンピックも始まりそれはそれで別の意味で「熱い」んですけど。

さて・・・。
夏風邪なんかひいているうちにまた間が空いてしまった「日本一危険な国宝・投入堂完全解剖シリーズ」です。
以前、「細かくエントリーを刻んでいこう!」なんて言ってたけどダメですね。(笑)時間は多少空いても「ドン」と集中的にやる方が性に合っているみたいです。
というわけで、今回の扉は上崖なんぞを暫定的に作ってみました。作ったとは言っても、これは光の周り方をある程度確認するためで、ほとんど適当です。まぁ、この部分は元々実測図みたいなものがあるわけじゃないので、作るとなれば大変ですが、こうみると何となく投入堂に見えてくるから不思議です。(笑)
投入堂が建立されている崖の土台の部分にしても角度的には大方合っているのですが、部分的な凹凸がまだ再現し切れておりません。ですのでメインの柱に対する斜材が完全に付けられていないかったり若干柱が浮いていたりします。こればっかりは写真を凝視しながら確認するしかないのですが、制作の敷居は高そうです。

ところで、今回のエントリーテーマ。結構込み入ってます。
まぁ、投入堂で込み入ってるったらここしかありませんよ。
まずは実写で確認した方がいいと思うのですが、前回日記でポソっと言っていた投入堂の西側からある程度見える
・・・ここです。↓
投入堂小庇
え〜っ、モデリングもだいぶ進んできて「やりたくね〜っ」ってところが残ってきてます。(笑)
けれどやらなければ先に進めない。ちょっと気合い入れていきますか。

今回は、投入堂の外観上複雑な箇所のひとつである西側の「ふたつの小庇」(小庇1=西隅庇・小庇2=西側面庇)をエントリーします。
この小庇は投入堂の外観上の大きな特徴でもあるのですが、実際この狭いスペースになぜ庇をふたつもねじ込んだのか、その理由は依然として不明です。そしてこの小庇に関しては、その作りや造形的な問題が各方面で多々取り上げられ、それこそ、投入堂は「新築か?増築か?」という問題の直接的なやり玉のひとつにも挙がっている代表的な箇所でもありますが、作ってみると、「なるほど」と思うところが何カ所もあります。
というわけで、まずはこの西側 小庇1(ブルー) 小庇2(レッド)を詳細に見ていきましょう。
但し今回、蛇腹より上の部材構成は考えず、まず、身屋への取り付きと、小庇全体的な構成のみとします。(西側身屋破風は部材がデカく、細かく見るのに適さないため今回は外してあります。)
screenshot_134.jpg
で、早速制作したモデルを上の写真とほぼ同角度からレンダリングするとこんな感じになります。
え〜っ、また、これは何回も言っているのですが、モデルに見られる柱のブラッシュアップはまだなので、各部材はほとんどが角材のままです。細くなるのはこれからです。ただ、今回に限り小庇の垂木群は削ってます。
この写真の角度は、投入堂を参拝する際に我々が限定された位置からしか見られないために、ごく一般的な角度として見慣れた位置なのですが、視線の移動という点からもせいぜいもう少し下方からか上方からになり、死角が多すぎるため細部の確認がほとんどできません。
そこで、まずは投入堂の身屋と平行に視点を上げ、実際の主屋根と小庇の取り付きの関係を見てみます。
screenshot_135.jpg
投入堂の小庇を平行位置から見るとこのような部材配置になっております。
驚くなかれ、板を葺いていないほとんど「素」の状態で小庇1と2はこれだけ接近しています。
「おいおい、近すぎだろぉ・・。」
このままあの厚い屋根を葺いていくと垂木の隙間はギチギチに埋まるどころか、重なりすぎて部分的に変形するでしょう。
そしてこれは後にやることになるでしょうが、実際小庇1と2の重なる空間の板葺きは不自然なぐらい密着していて、本来の投入堂の広がるような優雅さが感じられません。モデルがないのでわかりにくいかもしれませんが、小庇2の垂木は小庇1の板葺きを一部削るように付けられています。
新築・増築問題に関してここで持論は記述しませんが、もしかしたらこうした不自然さが投入堂「増築説」を高めているのかもしれません。
まぁ、骨組みの状態でこのわかりにくさなので、ここから蛇腹や板材を葺いていくと庇自体の部材密度が上がり余計にわからなくなります。
これでもイマイチよくわからないと思いますので、思い切って小庇1・2を外し、部材構成を見ていきましょう。
screenshot_136.jpg
まずは、小庇1です。
実はこの小庇1については前回の日記に書いたように、詳しい実測図みたいなものがありません。
よって、この部分に関しては、制作者の視点から想像の部分が何点かあります。
まず、垂木自体の長さと角度。これは東側の小庇と小庇2の垂木の角度とあまり変化無いだろうことで作成しました。組み付けてみると、虹梁と小庇1すぐ下の南北方向の梁の2点で支えていることが確認でき、長さ角度とも決定しました。軒先にやや屈曲が見られますが、ほとんど真っ直ぐです。
小庇1の部材は、破風が北側・南側で計2枚。垂木は10本、角度を西側に倒した茅負(?)1本です。
さて、まずここで注目すべきは、北側の垂木3本が短いことです。
なぜでしょうか?
これには明確な理由があります。
screenshot_137.jpg
これは正面(北側)から投入堂を見るとよくわかるのですが、小庇1の北側垂木3本分はこのまま長さを延長していくと主屋根の茅負や垂木などと位置的にカブるので短くカットしているようです。これは実写の写真を見てもわかるように肉眼でもハッキリと確認できます。
結果、この垂木3本は受けが一点のみとなり安定しないためエンド部分を横に這わせた板材で連結し、さらに4本目の垂木に接続し剛性を確保しています。
screenshot_138.jpg
思い切って小庇2を外し単独で小庇1をくっつけるとこのようになっています。
素人目に見ても、よく言えば「計算された配置」悪く言えば「半ば強引に」といった感じでしょうか。
ただ、「半ば強引に」とは言え決してそれが全体的なバランスを崩しているわけではありません。このあたりは投入堂の制作者のデザイン力といったところでしょうか。

で、ここでなんですけど、問題点が2点ばかりできてました。
まず、この小庇1の北側3本の垂木を連結している板材の形状なのですが、CGモデルでは破風のように曲げていますが、実際詳しい形状は不明です。下から見る限りではかなり直線構成された部材のようにも見えます。また、この部材と4本目の垂木との組み方も正確には不明です。残り6本の垂木に関しては虹梁(グリーン)に接続されているのが確認できます。
そしてもう一点は、小庇1の南側の破風が肉眼で見る限りかなり長く、どうやら北側の破風と形状が異なっているようです。
確かに写真で見ると破風は小庇2の垂木に届いているようで、これに関しては図面でも確認しました。確かに南側の破風は小庇2の茅負にも届いています。作り直さなければなりません。但し、この南側破風にしても図面がありません。やや制作者の想像が入り制作していきます。
screenshot_139.jpg
邪魔な柱を取り去り、南側の破風を大型化させた小庇1を身屋に組み付けるとこのような感じになると思います。
この南側の破風と身屋との組み付けの位置がどうしても確認できなかったのですが、おそらく長押の北側に入ると推測されます。正確な組付け方とその位置は不明なので今後の課題とします。
・・というわけで、これが手元の資料で考えられる小庇1の最終型(化粧板より上は含まず。)になるのではないでしょうか。
screenshot_140.jpg
最後に小庇1を付けた状態で視点を俯瞰に近くします。主屋根との位置関係はこの状態になりますが、・・確かに
こう見ると小庇1はピッタリはまっているようです。このまま南側まで1枚屋根で延長すれば(東側のように)特に問題ないように見えるのですが、ここに小庇2が入ると一気に複雑になっていきます。

・・・さて、いつもなら一気にやってしまうのですが、今回はちょっと長くなりそうなので、「日本一危険な国宝シリーズ 投入堂完全解剖編」は次回連続エントリーにて続くこととします。小庇2を取り付け、投入堂の西側庇群を完成させます。



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