建物記(けんぶつき)ファイル№0040宇治上神社 Ujigami jinjya
Kazz日本全国古(いにしえ)の旅
さて、京都宇治の世界遺産であり国宝の宇治上神社が修理保存に入る。本殿・拝殿は時間差で行われるが、併せて2014年の末までかかるそうだ。本殿は32年振り、拝殿は37年振りで屋根の葺き替えを中心に行われる。
あまつさえ、平等院鳳凰堂も修理の真っ只中。これは宇治にとってかなりの観光打撃を被るのではないかと思う。
宇治にとってドル箱のスーパースターを揃って失う状況は結構大変だ。
聞くところによると、お隣の平等院の場合、修理が始まった2012年9月は、前年比で約7割。同年12月に至っては約4割と、観光客の足は相当鈍くなっている。
宇治上神社の例に限らずこうした文化財の修理は日本各地で行われているが、平等院鳳凰も宇治上神社も伽藍内の一部ではなく、ほぼ単独の建築といってよいので代わりになるものが無い。正直この二建築が見られないとなると個人的には宇治に行く理由が無くなってしまう。・・やっぱり大変だ・・。
【宇治上神社 拝殿】宇治上神社は世界最古の神社建築だ。であるからして、極めて貴重な建築として世界遺産(もちろん国宝)に指定されている。
正確な建立時期は分かっていないが、平等院と同時期ではないかといわれる。
日本が誇る貴重な遺構なので、ダメージが広がらないうちに直していただきたい。自分も昨年訪れたが、屋根などはかなり痛んでいた。修理は最初に拝殿から。そして、本殿の順だそうだ。
【宇治上神社 拝殿 蔀戸 (半蔀 はじとみ)】
【宇治上神社 本殿(覆屋)】ところで、記憶にも新しい2012年の平等院鳳凰堂修理見学会。今考えても非常に悔しいあの思いがよみがえるのですが、宇治上神社もこうした修理見学会をやるのか・・?もし行うようでスケジュールが合えば貴重な機会なので是非行きたい。
回りの方に聞くと、
「平等院鳳凰堂はいったことあるけど、宇治上神社は無いなぁ・・。」という人が結構多い。
・・かくいう自分も昨年初めて行った。(笑)今思えば、これだけ近くにありながら何で行かなかったんだろ・・。
・・やっぱ鳳凰堂と比べると地味だからかなぁ・・。
いやいや、宇治上神社(拝殿)といえば、こちら。
美しい世界最古の縋破風 。(拝殿)(すがる・はふ)波のようにリズミカルに軒反りが、上がって、下がる。
国宝建築で縋破風と言えばまず、宇治上神社ですから。投入堂の庇も縋破風なんて記述がある本もありますが、投入堂の場合は屋根と庇が一体化してないんですよね。
修理が完成したら是非新しくなった縋破風を見に行きたいですね。
宇治上神社は世界遺産の割には人が少なく、ゆっくり見ることができます。また、拝観料などもありません。
あと、珍しいのは、ここ宇治上神社は紫紺(しこん)の台紙に金で書かれた御朱印を頂くことができます。(持参した御朱印帳に金で書いてもらうのでは無く、書き置きタイプです。)もの凄い御利益がありそうです。(笑)

屋根の修理の話と言えば、昨年桂離宮を訪れたとき屋根の葺き替えサイクルの話が出た。近年屋根の葺き替えサイクルは酸性雨などの影響などにより、以前より確実に短くなっているらしい。それを考えると30年以上持ちこたえた宇治上神社の屋根は優秀かもしれない。
国民の宝である日本最古の神社建築を守る屋根。こういうのも何だが、頑張って欲しい。