The flight of Phoenix.

11 09, 2013
鳳凰堂修理保存扉2
建物記ファイル№0021
平等院鳳凰堂 Phoenix Hall of Byoudoin Temple

さて、
今回は特別編。多分長くなるので何回か続きます。(前編・後編?)
エントリー内容については予告した通りですが、それが望まれているか、いないかは別として(笑)2013年11月1日(金)に大々的に行われた修理見学イベント
『体感 〜伝統の技と心〜京都保存修理の現場から2013』
と題し、この日京都にて何カ所かで行われている修理現場のうち、事前ハガキで当選した平等院鳳凰堂に行ってきました。
こうした京都府教育委員会主催の見学会がいつどのように行われ始めたのかはよくわからないのですが、昨年の9月から修理が行われたここ平等院鳳凰堂では、少なくとも昨年2012年と今年2013年の計2回が行われています。
予定では2014年3月に修理が終わるこの鳳凰堂の見学会には昨年も応募したのですが、結果は見事に外れ悔しい涙を飲んだので、今回の当選は感激もひとしおです。(・・・当選したのは相方の方なんだけどね。笑)

とはいえ、前もって書いておきますが、当ブログはあくまでも初心者を対象とした「何となぁ〜く国宝建築に興味がある。」方のためのブログという基本コンセプトを置いておりますので、その道のプロの方々のようにあまり深く掘り下げることはしておりませんので予めご了承下さい。(笑)
・・というか・・平等院鳳凰堂自体、研究者によって様々な角度から掘り下げられ過ぎておりますので、それをトレースするといたずらに長くなりすぎるし、時間も掛かります。使命が違うし、止めておいた方が無難なようで、殊の外あっさりと行きたいと思っております。(できるか・・・。)

では、前置きはこれぐらいにして、とりあえず、いってみましょうか。
平等院修理2
まず、平等院の表門に集合です。見学時間の方は事前に訪ねたところ一時間弱というこのなので丁度良さそうです。
見学会自体は一日限定ですが、午前2回、午後2回の計4回行われ、それぞれ20人程度が定員です。昨年抽選に落選したときは、人数に関して「もう少し何とかならないものか。」と思っていたのですが、実際現場に入ってみるとやはりこのぐらいの人数が適正人数だなと思いました。ちなみに、今回の倍率は約2倍、前回は4倍だったそうです。
screenshot_984.jpg
人数が揃うと出発です。
表門をくぐり見慣れた阿字池を右手に見ながら覆屋に隠された鳳凰堂を見ます。もう、何回訪れたか忘れましたが、今日ばかりは雰囲気が違って見えます。
見事なまでの覆屋にスッポリ覆われた鳳凰堂の姿を初めて見るのですが、その様は、まさに
「籠の中の鶏」ならぬ、「籠の中の鳳凰」・・です。
で、グルリと回ってまず最初に説明があったのは、鳳凰堂ではなく、その近くにある六角堂の説明です。
『えっ、そんなのあったっけ?』
と、にわかに思い出せないような人もいるんじゃ無いかと思いますが、・・鳳凰堂を正面に捉えると左奧の方向にちゃんとあります。
screenshot_983.jpg
↑これです。
平等院のあずまや的に使われているこの六角堂。
意外に知らない人が居るようですけど、この六角堂の部材は、すべて
鳳凰堂修理の際に再利用できなくなった鳳凰堂の古部材を使って造られているんです。
知ってましたか?
抜きの臍(ほぞ)なんかがそのまま残っていることから『どこかの建築の再利用品』だということはすぐに想像付きますが、鳳凰堂のものとは。
そう思うと俄に格式高く感じますよね。どこがどこの部材かハッキリした記録は無いそうなのですが、頂上のタマネギ・・・いや、失礼、宝珠なんかは翼廊のものらしいですね。廃材とはいえそこは元鳳凰堂の部材。何百年も前の息吹を身近に感じることができるこの六角堂。スルーしていた人も再訪の際は是非注目して下さい。
screenshot_980.jpg
【平等院南側翼廊部分から入ります。見えているのは資材運搬用の梯子です。】

そして、いよいよ足場用の約5000本の丸太が組まれ覆屋に隠された鳳凰堂前にきました。一体中はどのようになっているのでしょうか?
注意事項もそこそこに気持ちだけが前のめりに焦ります。
DSC01128.jpg
早速中に入るとベールに包まれた鳳凰堂が即座に姿を見せます。隊は狭い足場を抜け、感動を得る隙も無くすぐに2階部分に上がります。
screenshot_987.jpg
ここで、今回の見学者のコースを簡易CG化してみます。おおよそこのようになっていました。
screenshot_981.jpg
南側翼廊(を1階とするならば)から入り、スロープを上がると2階にでます。通路は中堂の裳階(上層)の屋根よりやや低いぐらい。そして、さらにスロープを上がると3階に出ます。3階の通路は主屋根の軒の高さとほぼ同じです。
screenshot_986.jpg
時間が無くてあまり造りこめなかったのですが、雰囲気だけでも伝わりますでしょうか。(笑)
CGでは思いっきり省略していますが、もちろん職人さんのための足場は全方位に掛けられて自由に歩くことができます。
で、我々見学者はこのブルーの通路に限定されます。よって、中堂及び翼廊共に目視出来る範囲は限られます。ほぼ正面のみで尾廊側には回り込めないようになっています。また、通路はもともとが一般参加者の為の通路では無いので非常に狭いです。
DSC01147.jpg
【一階の南側。正面に見えるのは南側(鳳凰堂正面左側)の翼廊】

先に「定員が20名では少ないように感じる。」と個人的に思っていたことを撤回したのはこのせいで、やはり現場に入ると20人ぐらいが適正だと感じます。20人という人数でも解説の際やや横に広がらざるを得なく、小さいパネルを使用しての説明だったので、これ以上の人数だとリアルタイムで解説が入ってこないのではと思います。
そして、中に入ってまず驚いたのは、屋根部分などの瓦葺きに関しては部分的に多少残っているものの、目に見える範囲の修理・塗装がかなり終わっていることでした。(特に塗装はこの時点で殆ど?塗り上がっていた。)
個人的には修理見学と言うよりも、一足早い完成披露という印象です。(笑)
これについては、解説の方も仰っておりましたが、朝(9時半)の回では主屋根の瓦はまだまだ葺き終わっていなかったということですが、夕方(15時)の回では殆ど葺き終わっており、このような状況になったそうです。
撚り完成に近づいた姿を見たいのか、未完成の状態の方が貴重なのか、そういう意味では修理もLiveなので状況は刻一刻と変化しているし、作業の進行を妨げるわけにもいきません。まして、宇治の観光のドル箱である平等院は、修理ももちろん大事ですが、「とにかく一日も早い完成を」と、お寺側から言われているそうです。世界中の皆さんが待ってますからね・・。ご苦労様です。
鳳凰堂5
国宝建築の修理
国宝と名の付く建築は数あれど、修理を一度も行わずに残存している建物はほぼ皆無と言って良いでしょう。
基本的に野外にある国宝建築は、屋根で数十年、解体修理が百年単位で必ずと言って良いほどやってきます。
その修理においても、建築が広い日本列島のどこに置かれているかという環境によっても違いますし、建築そのものが持つ素材などによっても異なるということが言えます。
先人達が時に命がけで守ってきた建築は、今日、何百年という長い時間を経て我々の目の前に存在しているわけですが、建築そのものが持つ歴史の側面にはこうした修理の歴史があることを忘れることはできません。

そうした建築の側面である修理歴を紐解くと、平等院鳳凰堂は過去に何回かの大規模修理が行われ、平安建立当初のオリジナルからその姿をかなり変えていると言われる建築でもあります。
その修理歴については、有名なところで、明治・昭和・平成の3回大規模修理が行われています。
また、それ以前にも小規模の修理はあったようで、この件については見学会でも説明がありました。
大きなところをザッと箇条書きにすると・・
明治修理(明治35-40年)・・・屋根小屋組の補強・尾廊・翼廊解体
昭和修理(昭和25-32年)・・・中堂解体・明治修理の見直し・基礎補強など
平成修理(平成10-15年)・・・主に庭園整備 州浜及び翼廊基壇復元整備

が主なところです。
今回の修理を入れれば4回と言うことになります。
そして、今回の修理は、
平成修理2(平成24-25年度末)・・解体を行わず主に瓦の葺き直し、デザイン変更、中堂・翼廊・尾廊の全塗装、金物修理など

こうした建築の修理は難しいものであり、その実際は大変な作業であるわけです。
中でも修理の方向性をどうするか?ということについては賛否が分かれるところでしょう。
現在の技術を持って耐久性の面から大きく改変してしまうのか、あくまでも当時の建築技術を強襲し、守るのか。など。
もちろん、基本的には何も足さず、何も引かないといのが理想ではあるのだけれど、激変する今日の環境や将来を見据えた修理を行うのが本筋であり、それにより変えざるを得ない修理が発生するのは致し方ないというところでしょう。
鳳凰堂もそうした修理の紆余曲折があり、今回の修理においても改変するところは改変するという方向性で決定したようです。

では、具体的にそれがどのようなものであるのか、詳しく見ていくとしましょう。(つづく)

2 Comments
By 老婆心11 09, 2013 - URL [ edit ]

なんとな~く、優雅な休暇を過ごしていらっしゃる風にみえてしまってうらやましい…

のはおいておいて。
日本ではこうやって重文だの国宝だの、建物や像や屏風やいろいろ修理をしますけれど、韓国の「国宝第1号とされる崇礼門が修復工事完了からわずか5カ月で色絵部分に亀裂や退色が生じた」件、やはりというか日本から輸入した新しい膠が悪かったせいだとか言募っているそうです。また日程が急かされたのもいけなかったのだとか伝わってきました。
この鳳凰堂修理、なんていうか彼我の文化・技術の差を見せてもらっている感じがしますね。

By Kazz11 09, 2013 - URL [ edit ]

老婆心さんこんばんは。
コメントありがとうございます。

いや、いや、優雅なんてほど遠いです。この日のために一年働いているようなものですから。(笑)

さておき、韓国の国宝が日本の接着剤のせいで云々・・という話はマスコミを賑わせましたが、度重なるクレームで事の真相がどのようなものなのかよくわからないし、あまり知りたくないです。(笑)
鳳凰堂の修理に限らず、こうした修理現場を見ると改めて日本の古建築に対する取り組みや技術の高さと、匠の仕事っぷりが頼もしい限りです。
老婆心さんも近くでこうした機会があれば是非ご覧になって下さい。面白いですよ。

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