The flight of Phoenix3.

11 25, 2013
鳳凰堂保存修理6-1
建物記ファイル№0021
平等院鳳凰堂 Phoenix Hall of Byoudoin Temple

さて、
長らく続いた平等院関係のエントリーもいよいよ今回が最後になります。結局、見学会が行われてから20日以上経過しての完結で旬は過ぎちゃったのですが、まぁ、しょうがないな・・・。
今回は写真が多いのでテキストは少なめです。
ちなみに以前のエントリーはこちらです。
『体感 〜伝統の技と心〜京都保存修理の現場から2013』前編
『体感 〜伝統の技と心〜京都保存修理の現場から2013』中編

今回の修理見学会で主に解説の対象となったのは、鳳凰堂の外観的変遷や瓦、塗装についてでした。特に瓦と塗装については詳しく解説して頂きました。
前編で少し話をしたのですが、今回鳳凰堂覆屋に入って驚いたのは、塗装に関しては殆ど終了していたことです。
仕上がりも思ったほどケバケバしくなく鳳凰堂に相応しい雰囲気です。
また、瓦の葺き替えについても目に見える殆どの部分が終わっている印象でした。僅かに中堂の主屋根と裳階部分に空きがありましたが、これでも午前中はほとんど葺いていなかったと言うから驚きです。まさに一日でここまでというレベルで、スパートがかかってる印象を合わせて持ちました。
screenshot_1004.jpg
【芸術的に組まれたトラス】

覆屋に入り最初に目に入ったのは綺麗に丸太が組まれた足場。およそ5000千本で組まれているようです。
なぜ丸太で足場を組むのかというのには理由があり、

●基本的に建立当初の工法で修理をする。
●このような丸太で足場を造る技術を次の世代に伝えるため。
●丸太は軽く柔らかいので落下した際に建物に与えるダメージが低い。
●自由度が高いため、長さ・高さ調節しやすく鳳凰堂のような複雑な形状にもフレキシブルに対応できる。など・・。


このような理由から、敢えて工事現場などで見る鉄製の足場を使わないということでした。
それにしても、こうした状態を当たり前のような景色として認識し、深く考えたことが無かったので、見るにしても聞くにしても面白く勉強になる話ばかりでした。
screenshot_1001.jpg
この状態は見学会の最後の回。午前中は殆ど葺かれていなくもっと空きがあったのに「あっ」という間にここまで葺かれたらしいです。職人さん流石です。
鳳凰堂瓦1
瓦は釘と銅線で固定。
こういうので50年も保つのかというぐらいシンプルすぎるぐらいの構造だが、逆にシンプルだからこそ保つのでしょうね。
鳳凰堂屋根1
【中堂屋根の入母屋北側。この棒のような場所に鳳凰が固定される。】
中堂入母屋部分。鳳凰が無い状態だとこういう風になってるんですね。このカットは今後貴重になるかもしれません。(笑)
やっぱりここに鳳凰が乗るか乗らないかで大きく違う・・。
ちなみに初代の鳳凰は痛みが激しいのですでに鳳翔館に展示保存されているのはご存じだと思いますが、今回の修理では、鳳凰も平安時代に建てられたときのように金押しされるということだ。
screenshot_1006.jpg
こちらはズラリと並べられた鳳凰堂歴代の瓦。こうしてみると結構な種類があるようです。
上段左から古い順。下段の一番左が今回採用のデザインの瓦。鬼瓦なども改めて造られるということです。
screenshot_1005.jpg
さらに上段の古い瓦を拡大するとこんな感じ。
。実は以前の瓦(左端参照)は奈良の興福寺再建の際、鳳凰堂にも供給された瓦であるということが判明しており、いわばおさがり的なものとして時代時代でデザインが強襲され、微妙にマイナーチェンジし、今日に至ったものである。
今回の瓦については調査・資料などで判明した創建から初めて総瓦葺きにされた(と、される)1100年頃の瓦のデザインに戻したということだ。これは、大阪八尾市の丘陵に所在する向山瓦窯跡で平等院のために生産された特注品ということまでわかっている。
河内系の瓦は、向山瓦窯跡の西側平野部は平等院領玉櫛荘の比定地となっており、この瓦窯で焼かれた瓦は調査などから平等院を中心とする宇治近郊で出土しているということです。その特徴としては、この時代に見られる布目瓦特有の縄叩きが細かいということだそうです。また、生産された瓦自体が粗雑になる傾向にある平安時代において非常に丁寧に造られており、サイズが少し短く、篦で布目を消すなどのいかにも見た目に手間が掛かる更なる特徴があり、管理用の刻印などが見られる鳳凰堂仕様の特別な瓦だったといえるそうです。
screenshot_1007.jpg
そして、こちらは新しくなった蓮を前面にあしらった新生・鳳凰堂の軒丸瓦。

話は変わるが、鳳凰堂が実は『木瓦葺き』(こがわらぶき=瓦を板で造る)であったのではないか、ということはかなり信憑性が高い事実として知られている。木瓦葺きといえば自分が真っ先に思い浮かべるのが中尊寺金色堂だ。
瓦を木で造る。いや、逆か。・・・元々木で造られていたんだ。
金色堂を最初に見たときは、お堂が金色ということにも感動したが、どのような状態であれ、最も痛むであろうこ木瓦が残っているということに感動していた。
今日の修理において鳳凰堂の木瓦葺き化には現実性がないが、これからの未来、もしかしたら次の葺き替えサイクル時期までに何らかの調査が進み、それが確定的になり、より建立当初に近い鳳凰堂を目指し『木瓦葺きの鳳凰堂』なんていうのが出来る可能性も決してゼロではない。
残念ながらその時に自分は多分居ないだろうが、一度見てみたいものである。
screenshot_1009.jpg
こちらは北側の尾廊。見て解るように塗装も終了し、丸瓦も葺き替えられ準備は完了。
screenshot_1011.jpg
鬼瓦もここまで接近して見られることはもう無いだろうな。
DSC01141.jpg
綺麗に葺かれた中堂北側の軒先。中堂の裳階部分は未だ瓦は葺かれていない状態であった。

鳳凰堂の塗装
一方、全体的な塗装の方はほぼ終了していると言うことであった。
解説でもありましたが、この鳳凰堂の塗装については賛否両論有り、新しくテカテカにすることにはかなり反発があったようです。自分も以前は「鳳凰堂は枯れたこの感じが良いんだ。」なんて書いていますが、実際目の当たりにすると「もともとはこういう色だったんだな。」と考えを改めたりします。
昭和修理の際塗装は鉛丹(えんたん・四酸化三鉛主成分の赤色顔料)で行われたらしいのですが、今回は調査などの資料を基に平安から使われている丹土(につち・酸化鉄系赤色原料)で全塗装を行うということです。
DSC01169.jpg
塗装済みの組物。赤の丹土と白の漆喰のコントラストが鮮やか。
screenshot_1014.jpg
終了した部分の塗装はすでにビニールで養生されており、ハッキリと確認することはできなかった。
screenshot_1015.jpg
塗装に関して、以前の修理では柱の下部にしたがって塗装をぼかす処理がなされたというが、今回はキッチリ塗られるそうです。

ところで、文化財の修理の際にも塗装については、新しくするのか、そのままにするのか、時間を掛けて議論されるそうです。やはり全体的な印象を左右するので慎重にならざるを得ません。他の文化財でも新しく施した塗装が、「わび・さびがない。」だの「他の建物との調和がとれない。」だの「新しすぎる」だのと批判の対象に晒されます。
そうした声を反映してか、塗装については控えめな処理をする場所もあるようです。
鳳凰堂板壁
【中堂背面支輪裏板】

個人的意見を述べれば、確かにこの問題はデリケートでどっちに転んでも何かしら言われるであろう。
永遠の建築は無く、文化財建築の修理はその建築を維持すると同時に歴史を壊していることと同種である。
鳳凰堂に限らず何百、一千年以上生きてきた建築の部材を必要以上に交換することはその歴史を無くしてしまうことにもなりかねない。一時代の鳳凰堂を預かる世代としてこの建物を後世に残す責任は重大だ。
熟考を重ねた末の答えとしての鳳凰堂であれば、信じ受け入れるしかないだろう。
また、職人の育成も必要だ。
文化財建築の歴史は同時に修理の歴史である。耐久性があることは悪いことでは無いが職人の技術を低下させる。
禅問答のようだが、相対するこの問題をクリアしなければならないということも忘れてはならない。

最初は修理前のそれこそ枯れた感じの鳳凰堂が好きだった。ただ、これにしても50年も経てば修理前のようになってしまうんだと考えれば建立当時に限りなく近い姿を見ることが出来る機会は貴重だなと単純に思っています。
鳳凰堂ラストカット1
見学会を終えて。
今回の見学会は公開を約4ヶ月後に控えているということもあり、見た目は予想以上にできあがっている印象であった。
正直言うと、自分の生まれた前から50年という長い時間風雪に耐えてきたご苦労様的な状態を見たかったというのが本音で、やはり1回目の見学会に行ければどれだけよかっただろうと思っています。それでも、鳳凰堂をこれだけ間近で見ることができたので感動があったことは間違いありません。
ただ、こうしたものは国民の宝でもあり、中には修理中だと知らずに見学に来る方もいらっしゃるようでした。
京都でも指折りの観光スポットである平等院鳳凰堂ですから、小さくても良いので特設テントなどに修理状況などの詳しい解説や展示などがあれば尚良かったと思います。
さて、
おそらく完成してから早々に訪れることと思うが、これから先何事も無く何百年もその美しい姿を魅せ続けて欲しい。
新生・鳳凰堂は2014年4月公開予定。

飛翔は、間近だ。

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