頂点と頂点 静嘉堂文庫「茶道具の美〜岩﨑家父子二代のコレクション〜」曜変天目と付藻茄子

03 08, 2016
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CG Kazz zzaK(+あい。)

さて、
先日静嘉堂文庫文庫リニューアル第二弾「茶道具の美〜岩﨑家父子二代のコレクション〜」に足を運んだ。
扉(CG)の曜変天目(以下、稲葉天目)を始め、油滴天目付藻茄子松本茄子など錚錚たるコレクションの数々。
実は静嘉堂文庫文庫の茶道具コレクションを見に行くのは二度目だが、今回は前回以上に楽しめた。
まず、天気の悪い土曜日の朝一番で行ったので、人影はまばら。おかげで並ぶことも無く、ほぼ独占状態で見ることができた。前回は人が少し多かった。また、最近お気に入りにギャラリースコープ(ミュージアムスコープ)を持っていったので、非常に細かいところまで確認することができた。特に稲葉天目は、思いの外見込みに傷が多い。と同時に、深く妖しい光具合を堪能することができた。
こうした超が何個も付くお宝を間近で実にゆっくりと見る時間というのは贅沢だ。

国内に国宝茶碗と言われるものは全部で8碗ある。そのうち輸入品が6碗、国内で焼かれたものは2碗。国内で焼かれた茶碗とは、作者不明の卯花墻(うのはながき) と、本阿弥光悦の不二山だ。曜変天目は、残り6碗のうちの3碗。今回展示の稲葉天目をはじめ、ひとつは藤田美術館、もうひとつは京都大徳寺龍光院が所蔵している。日本はおろか世界でも3碗しか無い貴重な茶碗だ。
藤田美術館所蔵の曜変天目については、昨年初めて東京六本木で開催された展示会に足を運んだ。
以前のエントリー → 六本木で宇宙を感じた日。『 国宝 曜変天目茶碗と日本の美 』
稲葉天目について少し触れてみよう。
この茶碗の伝来は正確には不明。12〜13世紀頃中国福建省建釜で焼成されたもので、紀州徳川将軍家の仕宝として国内に伝来した。
徳川家光から春日局、この春日局から下賜品として稲葉家に渡ったとされる。そののち、稲葉家から親戚の小野家に渡り、岩﨑小彌太、静嘉堂文庫の遍歴を辿る

ところで、貴重な曜変天目、ここにはない2碗を合わせてそれぞれ個性がある。
稲葉天目はかなり派手。よく、曜変天目は「小宇宙」というように形容されるが、実際、稲葉は宇宙と言うよりも深海のようなイメージ。小宇宙と言えば、藤田の方がよく似合うように感じた。
このふたつは曜変の感じこそ全く違うが、形状・サイズが似通っていることから、もしかしたら同じ人物が造ったのではないかと言う説もある。確かによくみるとそっくりだ。さらに龍光院天目とも似ている。
いずれにせよ、世界でも3碗しかない貴重な茶碗を見ることができるというのは、かなり幸せだ。
こうしたものを見るとき、「ここがどうで、こーたら」などとウンチクをたれるのは全くもって野暮な話しで、「とにかく、見てみて下さい。」というのが正統的紹介のような気がします。そこで、「こんなものか」と感じるか、(それも一つの感想である)得体の知れないものに感性を揺さぶられるかは自分の感性次第。原点に立ち返り、素直に自分に現れる変化を楽しむというのが美術館めぐりの醍醐味と言えるのではないでしょうか。
個人的には、不二山や卯花墻においてはその器に茶を入れて手前を頂きたいが、この茶碗ではちょっとその気が起きない。
これはおそらく「色」が関係しているのではないかと思います。青い食品に食欲があまり湧かないように、食べ物、飲み物としての青って独特な感じがします。黒に映える抹茶のグリーン。赤に反対色であるグリーンとの鮮烈なる調和。白にグリーンの和色。それらと違い、青は空や海に代表されるような空気的なイメージがあり、どうしてもなじめません。
あとは曜変の模様ですか。この丸泡みたいな感じがちょっと減退させます。でも、その色だからこそ宇宙という表現が的確とされたんでしょうね。
奇跡的に生まれた曜変天目ですが、あくまで観賞用として眺めるのが良いのかもしれません。すいません。(笑)
screenshot_2772.jpg
CG Kazz zzaK(+あい。)

さて、
一方、付藻茄子についても触れておきましょう。
当時茶入れに纏わる尾ひれ背びれのついた伝説は数々あれど、これほど謎に包まれた茶入れもないのではないだろうか。
例えばこの付藻茄子の所持遍歴の一部をみてみよう。
足利将軍家に始まり、松永久秀〜織田信長(本能寺の変)・・・豊臣秀吉〜有馬則頼〜秀頼(大坂夏の陣で焼失。その後探し出される。)・・・【藤重父子により修復】〜徳川家康〜藤重父子に戻される・・・現在(静嘉堂文庫文庫)
まさに天下人を流転する茶器である。逆に言うと、これを持った者は天下人になれる。(笑)
ただ、ご存じのようにこの付藻茄子の流転具合には諸説有り、事実として、「焼けたのは一度」ということらしいですね。
したがって、本能寺の変と大坂夏の陣の間に起こった、この付藻茄子を取り巻く謎というのは、この茶器のオーラに一枚も二枚の衣を着せたといえるのではないでしょうか。
付藻茄子が展示されているときは必ずと言って良いほどX線写真が付属し、「以前割れていた」様をみせてくれるのだが、現物を見ると、とても割れていたとは思えない。今で言う超絶的な修復技術である。
この修復の話しは面白くて、家康は「付藻茄子を探し出せ」と命令し、いざ見つかるとあまりの姿に「元通り直せ」と再度命令、それを受けたのが当時の漆塗りの名工父子藤重家。とてつもないプレッシャーでつぶされそうになりながら?も完璧に直した天晴れな藤重父子。その技術に感服した家康は褒美に、なんとこの付藻茄子をあげちゃうんですが、一説によると、家康の思い通りに仕上がらなかったため「(こんなものくれてやるわ)」あげちゃった、と、言う説があるようです。
天下の三肩衝、天下の三茄子、付藻茄子。高さ僅か7㎝にも満たないこの小さな茶器が見てきた世界というのは、一体どんな世界なのだろうか。
茶器としての頂点級のお宝、久しく完成を揺さぶられていない方々(笑)是非お勧めします。
DSCF1097.jpg
リンク→ 静嘉堂文庫「茶道具の美〜岩﨑家父子二代のコレクション〜」 2016年3月21日(月)まで開催

↓あると楽しみが広がります。



2 Comments
By シンプル03 12, 2016 - URL [ edit ]

やっぱり小宇宙ですね(笑)
既に12月12日土曜日に「金銀の系譜」の展示会で、静嘉堂さんは、天目茶碗も公開してくれていて、思わぬボーナスでしたが、また行って見たくなりました、ハイ(笑)
同感です、この国宝茶碗ではお茶はちょっと飲めない気分になります。色彩は不思議です。
確かに宇宙にお茶を放ったら大変なことになっちゃいますものね。

By Kazz03 13, 2016 - URL [ edit ]

シンプルさん

静嘉堂文庫リニューアルの曜変展示はラッキーでしたね。
美しい茶碗ですが、やっぱり観賞用のようです。
茶の美としては、抹茶を入れたときに完成する黒楽や赤楽などとは
すこし趣が違うようです。
色彩の影響はかなりあると思ってます。

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