日本一危険な国宝12

01 22, 2011
三徳山 三佛寺 投入堂(完全解剖 製作編)4
Mitokusan Sanbutsuji Nageiredou (kanzenkaibou-seisakuhen) 4
Kazz日本全国古の旅


さて、何となく投入堂が気になる人の為の投入堂講座。すっかり縦軸になったKazz zzaK(+あい。)=日本一危険な国宝シリーズ。色々交えながら今回もマニアックに掘り下げてみたいと思っております。

前回国立国会図書館から図面を入手したお話をしましたが、一部やや問題がありました。
確かに高精細なのは良いのですが、やはり一部が本の「とじしろ」の影響で伸びてコピーされており、サイズが完全一致というわけにはいきませんでした。ただ、これ以上の図面となると、もうオリジナルのデータを入手するしかないでしょう。
さすがに、それは出来そうもないのでとりあえず進めてみます。投入堂自体を限りなく忠実に再現するつもりですが、何せ謎が多すぎる建物ですので、やりがいがありすぎます。

さぁ、今回もいってみます。

早速ですが、この下の写真↓

投入堂天井5

何だかわかりますでしょうか?おそらく、パッと見ただけでは想像すらつかないと思いますが・・格子状の向こう側に置いてあるものがヒントです。

グーグルなどで「投入堂」を検索すると関連ワードで「投入堂 内部」というワードがでてきますが、皆さんご承知の通り、投入堂内部は非公開であるどころか近づくことすらできません。加えて、例え近づくことが出来たとしても、それは「日本一危険な国宝」の名の通り、死者がでても全く持っておかしくないほど険しいものです。自分のブログにもこの「投入堂 内部」から来られる方がいらっしゃいますが、皆さんやはり内部にはかなり興味があるようです。

確かに「完全なる非公開」ということではありますが、まだ誰も目にしたことがないというわけではなく、写真や映像なども確かに存在しますし、自分で撮影したものではありませんが、内部の写真も持っています。
結論として、足で稼げばこれらを入手するのは現在でもさほどむずかしくありません。ただ、ネット上には自分が探した範囲では内部写真は一枚もありません。(一部以前テレビ放映したキャプチャ画像があります。)

というわけで、今回のKazz zzaK(+あい。)は、投入堂になんとなぁ~く興味がある人の最大の謎である場所へのいきなりの核心。

投入堂内部空間

に迫り、その空間構成をCGモデルを使って何回かに分けて簡単にご説明します。

おいおい、「ご説明」って偉そうに・・。

すいません、大したものじゃございませんが、見ていきましょう。(見やすいように周りの壁板と扉は外してあります。あと、まだ粗組のため継ぎ手などの部分は未処理です。※入手した図面が1/60の尺スケールで細かいためサイズ表示後の(±㎝)は多少の誤差を考えています。

冒頭の質問ですが、
やや引き気味に、こうすればおわかり頂けるでしょうか?

投入堂天井2

そう、冒頭の写真は投入堂の身舎の屋根を外した真上から見たものです。

どうでしょうか?想像と違いましたでしょうか。

投入堂の身舎は屋根を外すと、実はこのような構造になっています。勿論この上に屋根を支えるための梁などがかかりますが、まずは天井から下の構成です。

投入堂天井4

投入堂の天井は小組格天井(こぐみごうてんじょう)になっています。より豪華な折上格天井では無く、ストレートに組まれています。但し、梁の直上に格子を置くのではなく、梁の上に一段板が全域にめぐり渡っています。
身舎と対応するように、東西5間、南北3間、格子は10×10で構成されています。
中は決して広いとは言えません。蔵王権現像は既に移されており、ガラ~ンとしています。目立つものとしては、壇が設けてあり、ここに蔵王権現像が祀られていたものと推測できます。
他、飾りらしい飾りは一切ありません。
この壇の上部に東西格子3間分の幕板と南北2間分の幕板が巡らされます。檀のサイズと対応しています。

身舎サイズ

北西上部からの視線に移します。内部構成は非常にシンプルに造られています。CGモデルではわかりませんが、内部の壁板などは、塗装が落ちており、木の地肌のままになっています。(外より劣化具合はマシですが・・。)ただ、内部の板材の一部に確かに白く塗った形跡が伺えます。

そして、やはりというか、当然というか、蔵王権現像を祀るためにがあります。7躯の蔵王権現像を祀るために空間に対して非常に大きく面積が取られています。この壇は、像を祀るために造られたものであるのは間違いありませんが、7躯の像だと些か狭い印象があります。始めは何体かを祀るために造られたもので、後に7躯までに増えたのか、詳しいことはわかりませんが、どのような感じで祀られていたのか興味は尽きません。尚、壇の高さは床から16㎝(±1)東西2.14m(±2)、南北1.51m(±2)です。

投入堂正面

正面から見てみましょう。さらにわかりやすいように北側(投入堂正面)の扉の柱を抜きます。
床板は面取りがしてあり、その数は15枚で構成されています。壇は7枚です。上の写真を見るとわかるのですが、面白いのは、この床板の幅が一定ではないことです。幅が極端に狭い板もあり、広い板もある。しかも不規則に並ぶ。(西から、太→太→細→太→太→細・・というパターンにも見えるがサイズがかなり違う。)一番幅の細い床材は幅14.3㎝(±1)一番広い床材は幅33.0㎝(±1)その差は実に2倍以上もあり、なぜこんなにもサイズの違う床板の構成にしたのかちょっと不思議です。何か意図があるのか・・。

投入堂正面下

小組格天井と幕板の回り方はこのようになっています。CGならではの床面透過、正面の梁も透過させます。
上部の幕板ですが、北側(投入堂正面)東側(愛染堂側)西側(いつも自分たちが見てる側)は独立した幕板がありますが、南側(崖側)は独立した幕板はなく、壁と共有しています。

■投入堂身舎 床の秘密■

実は個人的に、謎が多い投入堂の中でも特にこの床に注目している。
投入堂がどうして倒れないか考えたことがあるだろうか。
以前テレビのドキュメントで、広島の厳島神社がなぜ台風などの自然災害から倒壊せずに守られたかを詳しく検証していた。その中でも特に回廊の床は重要であり、固定せず適度に床材の間を空けることで、そこから寄せた波を逃がし、また、固定されていない床自体が激しい波からのショックを吸収するサスペンション的な役割があるという事を聞き、先人達の知恵に感心していた。また、最悪な場合はこの床がバラバラに壊れることでショックを最大限吸収するということだ。ある意味適度に壊れやすく造っているともいえる。

投入堂は一度も倒壊していないという。あれだけの斜面に建っているにも拘わらずだ。しかも何処かに固定されているわけでもない。18本の柱が地面に乗っているだけだ。
「乗ってるだけか・・。」
確かにこれだけの場所に建っているのであるなら、まず建物を安定させるために何処かにキッチリ固定しようと考えるだろう。それをなぜやらないのか。倒れやすく造った結果倒れないのか。矛盾するようだが。

投入堂はどうして倒れないのか?
そして、この図面を入手したとき確信した。
自信のない確信だが、この床は絶対にただの床ではない。もしかしたら、地震などの際、サイズの違うこれらの床板が何かの役目をするのではないか。投入堂の構造を詳しく見ると、一見シンプルなようだが、屋根構成などはかなり複雑な取り回しをしている。ますますあり得ないだろう。逆転の発想かもしれない。つまり、固定箇所を最小限にすることで建物自体が最小限揺れるようにする。一見相反するようだが、五重塔の原理と同じで、何かしら力の逃げる構造が考えられているはずだ。で、ないとおかしい。横揺れなどのかかる力が不均等な床材を並べることにより、その波動にズレを生じさせ、力を相殺するように造られているのかもしれない。もしそうであれば、おそらく庇側のデッキ部の床にも何かヒントがあるはずだっ。(・・お前は探偵か何かか?)

・・すいません、取り乱しました。
これだけキッチリと造られている建物なのに、この床の件に関してはどうしても腑に落ちない。何か理由があるはずだと思うのだが・・。(何でも無い場合すいません。)

身舎自体のサイズは、桁行(東西)3.91m(±2)梁行(南北)2.42m(±2)です。(身舎柱中心部から)
かなり小さい。
そして、身舎の5本の柱の直径は約1尺。平安末期の建築である投入堂の柱は、当然現在の1尺=30.3㎝で造られたものではなく、1尺=29.6㎝の時代のものである。(多分)

役小角が、「キリが良いから柱は1尺にするかっ!」

といったかどうかは不明ではあるが、図面上は27.5㎝位で平安時代の1尺とほぼ同じ。

どうせなら「キリがいいから。」ってことで1尺にすればよかったのに。

天井サイズ

投入堂は見た目も非常にスマートな建物ですが、内部空間を見るとその様子が顕著に表れます。
この投入堂の天井の高さはどのぐらいでしょうか?

多少のズレなどを考慮して、投入堂の天井までの高さは、193㎝(±2)であることが分かります。蔵王権現像は115㎝なので、やはり相当に低い印象です。自分の家のアパートの天井が235㎝・・。

確かに低い。(笑)

さぁ、ようやく進んできた投入堂のCGプロジェクト。今回は駆け足で内部空間の説明をしていきましたが、内部に興味がある方の参考になったでしょうか?このモデルが完成する頃には、色も付け、限りなく本物に近付けていくつもりです。けどまだまだ先は長い。

投入堂の建築方法は完全に分かっておらず、推測の域を脱しませんが、こうしてみると、身舎を造りつつ庇を造ったんだか、同時に造ったんだか、本当によく分からない。ただ、斜面からの水平が出せれば、身舎を足場にして庇を造ることは全然出来そうだ。次回からはそうした建築方法の謎も深く掘り下げてみよう。

それにしても投入堂は奥が深い。
前にも書いたが、実は自分が具体的に投入堂に興味を持ったのは、ここ何年かである。投入堂歴は非常に浅い。(笑)それが去年投入堂を訪れて一転、一気に爆発した。したがって、今自分がしていることや個人的に検証していることは「何をいまさら・・」という場合が多分にあると思う。
投入堂ファンの間では既にお馴染みの、NHKで放送した「国宝・投入堂の謎 修験の山 三徳山の祈り」という番組があるのだが、恥ずかしながら実は自分はこの番組を観ていない。全く何をしていたんだろうか・・。内容構成も殆ど知らないので是非とも観たいものだが、こうした番組の配信は現在無いようだ。がっくり。(YOU TUBEなどで一部は観られるようだ。)

自分も折角興味を持ったので、最近投入堂を知ったとか、訪れて興味を持った。という人が一杯来てくれると嬉しいものです。このブログは、そうしたものを含めた後発ですので。「そんなデータいらねえ」という細かいところまで掘り下げていきたいと思っています。

何せ、「完全解剖」ですから。
 



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