日本でここだけ。唯一の平面形式を持つ極めて貴重な寺院建築、竜禅寺三仏堂

12 03, 2016
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建物記ファイル№0065
竜禅寺三仏堂
Ryuzenji-Sanbutsudou

さて、
少し前に予告しておいた「日本唯一」の肩書きを持つ寺院建築。ようやく。
早速もったいぶらずにいってみようと思いますが、それが、ここ茨城県牛久市、竜禅寺三仏堂です。
もう、外観から見て何か凄くないですか?(笑)
サイドに張り出した裳階のようなもの。これを初めて見たとき自分はなぜかレーシングカーのリアビューを思い出してしまったんですよね。タイヤに被さるオーバーフェンダー的な感じで、有無を言わさぬ迫力があります。
そして、ちょっと、この屋根は・・・?
茅葺きですか?
茅葺きというと、白川郷のような山間部の豪雪地帯の古い住宅というイメージがありますが、こうした住宅街にいきなり現れると、なかなかの違和感を感じます。聞くところによると、この竜禅寺三仏堂、元々茅葺きでは無かったようですが、近年の解体修理の際、この茅葺きに改められたそうです。オリジナルがこっちなんですね。
でも、どうみても厚すぎる、いや、デカ過ぎるでしょう。なまじ屋根下のデザインが簡素ながらも格好良すぎるので、ちょっとデザイン的にバランス取れてないんじゃないかなぁ・・・と、思います。(笑)
まぁ、それは置いといて。
問題はそこじゃありません。
冒頭でも言ったように、正面から見ても何やらちょっとした違和感が・・・。
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視点を変え、サイドに回り込んでみます。
「おおっ」何これ?
正面からでは朧気であったサイドの出っ張りの正体が。
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反対側を見ても、同じようなものが付属する。
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後方は更に複雑な形状に。
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この庇のようなものは正面を除き一周回っているようですね。しかも後方は昇降の為と思われる階段が付いている。
禅宗様建築に代表されるような所謂「裳階」は通常であれば全周にあるもの。しかも、それは基本的に屋根だけ。
普通に考えると、これは内部の動線が形になったもののようですが、実際どうなんだろうか。
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簡潔で非常に詳しい解説があったので、一部トレースしてみましょう。

竜禅寺三仏堂(りゅうぜんじさんぶつどう)

時期ーーーー室町時代後期
規模ーーーー間口三間(6.395m)
ーーーーーー奥行四間(7.309m)
北相馬郡に残る中世建築として当初の姿を忠実にとどめており、中世から近世にかけての建築の流れを知る上に貴重な遺構である。
三仏堂は、延長二年(924)年の創建と伝えられ、釈迦・弥陀・弥勒の三仏を祀る。
現在の建物は、建築様式から室町時代後期のものと推測され、さらに内部にあった永禄十二年(1569)年の木札から詳しい年代がわかった。
三間堂の平面であるが、正面に一間外陣を設け、さらに両側面と背面に裳階を付けた構成になっている。組物は出組と平三斗で、木鼻と板蛙股に簡素な彫刻がある。彩色は無い。屋根は茅葺きの寄棟で軒を二重にしている。解体したとき材料のいたる部分に梵字で経文が書かれており、さらに仏壇下の地下に壺が埋められていた。
禅宗様と和様の混合した建築様式にくわえ、特異な平面形式はこの建物をほかに類いのないものとしている。
取手市教育委員会


ふむふむ・・概要は分かった。
分かったんですがね・・・。
加えて、取手市発行のPDFパンフレットがありましたので、見てみますと・・・解体は昭和60年の一月から61年の10月まで行われていたということです。親切にも修理・解体前の図面も載せていただいているようで、非常に分かりやすくなっております。
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で、率直な印象なんですが、基本的な構造、つまり正面三間・奥行四間というのは変わらないようなんですが、外観的印象が同じ建物?っていうぐらい違います。
解体・修理にあたり「創建当時に戻した」ということなのですが、前回の「金蓮寺弥陀堂」同様、こうなると、もうよくわからない。ただでさえ日本唯一の平面形式をもつ寺院建築という冠付きなのですから。・・・しかも案内板に「当初の姿を忠実にとどめており・・」との一文があるのですが、どの時代かの棟梁は、とどめるどころか、大きく改変してしまったのでしょうね。(笑)
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そうした意味から無理矢理疑いの目で見ると・・・(笑)
写真などで見た初見において、始めこの部分は参拝の動線のために確保されてる部分かと思ったのですが、実際見ると細すぎて全然無理。しかも角度が急すぎて危ない。これはやっぱり関係者の非常通路みたいなものなのでしょう。
でも、裏の正面にも階段が有り、反対側と合わせてこの狭い範囲に降りづらい階段が三カ所もあるのはなぜ?しかも中央に集まるように。もしかしたら、デザイン的な理由も大きくあるのかもしれませんね。
ちょっとよくわからないんですが、実に面白い。
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日本で唯一の平面形式ということで平面をCGにしてみました。不可動面のみ存在させ、襖など可動面は外してあります。(構造上半面埋まりますが無視・笑)
柱の位置と閉じられた面に注目すると、意外にも開放的な建物であるということがわかります。
この平面形式の問題はブルーの部分。デザイン上にもキモとなる部分ですが、ここは当然ながら不可動面です。逆にここが動くようだと何となく疑問が浮かびます。そんならなんで全周張り出さなかったかと。後ろの緊急非常口?(笑)の部分一体は殆ど可動する面が無いので、その辺にこの建築のポイントがあるかもしれないです。
しかし、どうやら修理前はこのブルーの部分は可動面となっていたようです。
仮定の話になりますが、ここ北茨城で唯一残存する重要文化財の中世建築として、当時はかなりの人出があったのではないでしょうか。図面を見ると、オリジナルから改変されたと思われる部分(増築?)は人の流れを意識してされたものではないかと思うのです。
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外見的なデザインの話に戻しますが、通常に見られる禅宗様建築とは一風変わった面白いデザインです。
裳階下がこれだけ大きいにも拘わらずシャープな感じを受けるのは、やはり正面とサイドの一部にデザイン上の段差を設けることで、そうした大きさを感じさせないデザイン力があるのかと思います。
・・・ただ、重い印象を受ける屋根のデザインは好きでは無い。(笑)

そんなわけでして、改変のことを知ってからCGの製作を進めていながらも、モチベーションがあがらず、このザマです。
今回、更に残念なことに、中を見ることができませんでしたので(通常非公開)目視で確認できたより詳しい内部などのレポートが無く、CGなどにも反映でした。こうした超改変の裏には確信的な理由があると思いますので、それを含めいつかの機会に見に行きたいと思います。



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