並河靖之は、いかにして並河靖之になったのか ? その答えを見つけるために。東京都庭園美術館 並河靖之 七宝展

03 30, 2017
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CG Kazzzzak(あい。)

さて、
少し遅くなったが東京都庭園美術館で開催されている「並河靖之七宝」展を見に行った。
並河靖之といえば当ブログでも登場回数のかなり多い大好きな芸術家である。
「超絶技巧」という言葉が定着し、その源である明治工芸がブームになっている今日、「いつか並河靖之単独で展覧会をやってくれないかなぁ」と思っていたのだが、ここにきてようやくそれが実現した。
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結論から言ってしまえば、この展覧会、展示品は言うに及ばず、人間 並河靖之を知る上でも極めて重要な展覧会です。
最初期の作品から、並河の最高傑作といわれる晩年の作品まで。時系列で展示されたはじめての回顧展。それが、重要文化財でもある旧朝香宮邸で開催されているのだから、そりゃもう、最高です。(笑)実際、邸宅内の雰囲気と相まって、すべての作品が神々しい。ひいき目ですが、並河靖之七宝にはこういう場こそ相応しい。
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早く見たいのをグッとこらえて、まずは重要文化財である誰もいない旧朝香宮邸をカメラに納めた。近年修復され、良い意味で真新しく、素晴らしさ際立たせる。
庭や入口付近の写真を撮りつつ、一呼吸置いて中に入る。
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実は東京都庭園美術館は初めてだ。本来なら重要文化財でもあるこの邸宅だけでも入場料を払ってもいいぐらいだが、並河靖之七宝が展示されているとなると話は別だ。実際入ったはいいが、館内が一向に目に入らない。(笑)
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上の写真は京都の並河七宝記念館(並河邸)に訪れた際に撮影したものだ。晩年、引退した並河は、ここで鯉と戯れることを楽しみに過ごしていたという。

今回の展示会は、並河の初めての回顧展ということもあり、国内・海外色々なところから彼の作品が集合している。見慣れた作品もあるが、初めて目にする作品も多い。これだけの並河作品がズラリと並ぶことは、今後しばらく無いと思う。
並河がマスコミなどに紹介される際は、当然ながら最盛期の脂の乗り切った頃の作品が登場する。例えば今回の扉のような壺(藤草花文花瓶・明治後期作)だ。そして、並河といえば花鳥をデザインしたもののイメージがあるが、初期の作品は輸出を意識したせいか、龍など中国を連想させるものが結構登場する。逆に晩年は、一枚の絵画のようなシンプルながら極めて繊細な作品が並ぶ。このテイストの変遷には理由があるが、そこは展覧会を見に行って自ら感じて欲しい。
最初期〜晩年。この並びを見ると、素人ながらにも凄まじい技術的な進化を感じ取ることができる。最盛期や晩年の作品を見た後では初期の作品などは確かに発展途上にあると感じるが、それでも「いきなりこれかっ!」という大きな驚きはある。逆に晩年は、えっ?と思うような作品もある。彼の作品作りを取り巻く様々な環境変化を感じ取れるか、そこは今回の展覧会の大きな見所のひとつだろう。
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CG Kazz zzaK(+あい。)藤花菊唐草文飾壺

天才というのは、生まれてから死ぬまで天才では無い。
今日、超絶技巧・天才の代名詞のように扱われる彼でも、大きな苦悩・挫折という壁を超え頂点を極めた。デザインや技術、そしてそれこそ血のにじむような研究を実行し、幾度となく繰り返されたトライアンドエラーの膨大な時間。
並河は、時間的制約や売らんが為の作品作りを断固として拒否していた。だが一方で、抱えた職人達の生活のための責務はあったに違いない。それ故顧客の要望に多少は応えなければならなかった。超職人である並河の人間性がそこまで融通的だったかどうかは些か疑問だが、やらざるを得ない背景はあっただろう。
七宝造りには思いの外多くの人間が拘わっている事を知った。今回の展覧会は、下図など作品以外の展示も豊富だ。そういう意味からも並河靖之個人だけではなく、チーム並河の存在。側面から見る並河作品というのも別の鑑賞ポイントになるのではないだろうか。
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CG Kazz zzaK(+あい。)藤草花文花瓶

今回の展覧会は、当たり前に天才といわれる並河の心の揺らぎ、苦悩する精神を時代毎の作品から感じ取ることができる素晴らしい展覧会です。誤解のないようにいいたいのだが、それは決してネガティヴな意味ではない。ただ単純に細かい、超絶技巧だ!人間業じゃない!と持ち上げるのは簡単だが、そうした技術力に感動・賛美する時間は個人的には終わった。この展覧会は作品の変遷とともに、いかにして並河靖之は並河靖之になったのか?という進化の過程に興味は集約された。もちろん、その答えにたどり着くまでの全てを見ることが出来たわけではないが、並河靖之の多くを知ることができたことは間違いない。

並河靖之七宝展は2017年4月9日(日)まで東京都庭園美術館にて開催。
桜よりも藤の花。こちらを先に見るべきだ。
おっと、単眼鏡を絶対に忘れるなっ!!(笑)


今回は東京都庭園美術館でビクセンの単眼鏡が先着50名まで無料で貸し出しされているようです。
詳しくは→東京都庭園美術館『並河靖之七宝展』で単眼鏡の無料レンタル
絶対に借りるべし!

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